社会実装されている金属、セラミックス、半導体材料などの多くは多結晶であり、社会インフラとしての構造物、情報機器、太陽電池などに用いられ、私たちの生活を便利で快適なものにしている。多結晶は様々な方位やサイズをもつ多くの結晶粒と、隣接する結晶粒間の境界である粒界で構成される非常に複雑な組織構造をもつことが特徴である。多結晶組織の複雑さや粒界の多様性から体系化が困難であるため、従来にない優れた性能や機能を示す材料開発の指針となる学理の構築にはいたっていない。
本書は、多結晶材料開発手法を革新する学理の構築を目指し、実験と理論・計算・データ科学を融合した「多結晶材料情報学」の開拓を進めた6年半にわたる研究プロジェクトの成果を、材料科学の教育・研究や実際のものづくり現場に広く届けたいという思いから企画された。本書は、新しい学問領域である「多結晶材料情報学」の教科書・専門書であり、多結晶材料情報学を支える結晶学と情報学の基礎、および多結晶シリコンをモデル材料にして創出された研究成果の紹介から構成される。
本書で紹介する研究成果は、汎用性に優れ他材料に展開可能なものも多く、社会的課題を解決したり、産業競争力を強化したりするような革新的材料の創製や人材育成への貢献が期待される。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。