特集:脳血管内治療に必要な血管解剖学
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1959年、ジョージタウン大学の脳神経外科医アルフレッド・J・ルーセンホップは、47歳の女性の左大脳半球に存在する高血流の大きな脳動静脈奇形に対して、頚動脈からカテーテルを挿入し、メチルメタクリレートで作られた直径2.5mm~4.0mmのビーズを中大脳動脈に送り込むことで、nidusのサイズを大幅に縮小できたことを報告しています。その後、離脱式バルーン、プラチナコイル、マイクロカテーテル、ステントなど、さまざまなデバイスの開発と脳血管造影(DSA)装置の進化により、現代において脳血管内手術は脳血管障害の中核的治療法として確立されてきました。しかしながら、どの時代においても血管解剖学が重要であり、特に機能解剖学の知識と経験は手術を安全に行う上で不可欠です。まるで正確な地図と道路情報がなければ、どんなに速いスポーツカーに乗っていても、目的地に安全かつ確実に到達できないのと同じです。 本特集は、脳血管内治療の専門医や指導医を目指す医師のための解説書です。知識としての解剖学だけでなく、臨床で遭遇する変異やDSAでは判別しづらい吻合を見極めるための解剖学、そして実際のマイクロカテーテル誘導時や塞栓物質の注入の判断、母血管閉塞の可否の判断において重要な機能解剖学に焦点を当てています。執筆は、現在臨床の第一線で活躍する若手の指導医の先生方にお願いしました。 解剖学を学ぶことは外国語を学ぶことに似ています。外国語の教科書で読み書きを覚えただけでは不十分で、実際に外国人との会話を通じて初めて言語を習得したと言えます。そのためには、その国の言語だけでなく、背後にある文化や歴史についても理解する必要があります。解剖学も同様で、単に脈管の名称や支配領域を学んだだけでは不十分であり、背後にある発生学的な理解が重要です。そして、そのような知識を手術室やDSAの場面で理解し、第三者に解剖学的な用語で伝え、手術記録を正確な解剖学的用語で記述することが習得するための要素となります。もし生きた解剖学が外国語と同じくらい重要であるならば、日々の臨床の現場で常に口に出して他の医療スタッフと共有することによって、チーム全体の疾患や病態に対する知識と理解が一層深まるでしょう。 本特集は、脳神経外科医だけでなく、神経放射線科医、放射線科医、脳卒中リハビリテーションに従事する方、放射線技師やカテーテル室勤務の看護師にも役立つ内容となっております。機能解剖学の楽しさと奥深さに触れていただければ幸いです。(Editorialより)
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