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森林火災とその再生を描いた、2022年スペイン「ベスト児童書賞」受賞作品
世界最大の熱帯雨林をもち、「地球の肺」と呼ばれるアマゾンで、2019年に大規模な森林火災が発生。広大な森が焼失し、多くの生きものが命を落としたことに心を痛めた作者が、動物の視点で描いた「ナラティブ・ノンフィクション絵本(事実に基づいた語り形式の作品)」。本書は、2022年スペインにおいて権威ある「コンポステーラ国際絵本賞」を受賞、スポーツ・文化庁が選ぶその年の最優秀編集図書(児童書部門)としても高く評価された。現在、スペイン国内の諸言語を含め9言語に訳されている。巻末では著者が、絵本を創作するにいたった経緯に触れつつ、世界各国で発生、頻度を増している森林火災について実情を伝え、森林保護に取り組む人々に敬意を表す。動物たちの祈りにあふれた一冊。
あらすじ:
長いあいだ雨が降らないジャングルに火災が発生し、煙によって太陽の姿が動物たちから見えない。動物たちは太陽が一向に昇ってこないことを不思議に思い、太陽を探しながら森のなかを歩き続ける。やがて激しい熱さを感じ、太陽が戻ってきたと思いきや、それは彼らが「待ち望んでいた夜明け」ではなかった。動物たちは必死で逃げ惑うが、火は燃え広がり、あたりは無情にも焼き尽くされていく。その後、ぽつりぽつりと雨が降り、森には静けさが訪れる。そして、新たな姿に生まれかわった森が現れる。動物たちは祈る──。「黄色い太陽がもう二度と姿をけしませんように。赤いインコも、青いチョウも、この緑の森も、どうかなくなることがありませんように。いつまでもずっと」
帯にはこの絵本を読んでくださった上白石萌音さんのメッセージが!
この作品には「黒い余白」があります。動物たちのこと、木々や花々のこと、わたしたちも暮らす地球のことを、自分の目で捉えるための余白だと感じます。豊かな色彩の尊さに気づかされ、遠いアマゾンの森に心が引き寄せられました。あなたもぜひ、絵本とともに思いを馳せてみてください。──上白石萌音
編集部より:
世界各国で頻度を増している森林火災は、気候変動がおよぼす影響が大きいと考えられているが、人間によって引き起こされる場合も少なくない。火災の一因となる大規模な農場や牧場では、大豆やトウモロコシ、牛肉などを生産しており、そこで収穫されたものをわたしたち日本人も食べていることを考えると、決して無関係ではない。この絵本のきっかけとなった2019年の火災では、森林の11%が消失されたともいわれ、多種多様な動植物が失われた。この作品をとおして、ひとつしかない地球を守るために、いま何ができるのかを読者とともに考えてみたい。
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