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高次脳機能障害は「回復」するものの、完全にはなくならない。回復も、障害の重さや年齢といった個別要因、取り巻く環境の違いが関わってくるため、一筋縄ではいかない。
著者は、脳梗塞を発症し、高次脳機能障害の診断を受けてから八年を経ても、いまだにままならない症状や新たに不自由さえ感じている。自身の発症からこれまでの経過を辿り、長年この領域を見続けてきた心理士と対話する中で見えてきたのは、症状そのものだけではなく、症状に伴う当事者の不自由感、心理面を重視した支援について考えることの必要性だ。
自身の障害理解と対策・工夫にたどり着くまでの著者ならではの思考、多くの当事者たちと交流する中で発見した視点は、見えづらい障害の輪郭を浮かび上がらせ、医療職や援助職をはじめ、当事者と家族を含む多くの人がこの障害の回復と支援について考えるのに役立つ。
中途障害後を駆け抜けてきた当事者と、この障害の病態や支援に精通する心理士による、高次脳機能障害支援論の到達点。
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