「道徳哲学の歴史に関するロールズの思想の中心にあるもの、それは、わたしたちの伝統がもつ偉大なテキストのなかに、人生をいかに生きるべきかに関する多くの困難きわまりない諸問題に甘んじてかかわろうとする、偉大な知性たちの努力を見ることができる、という考え方である。」(「編者の緒言」より)
『正義論』によって現代の政治哲学に深甚な影響を与えたロールズ教授の、30年におよぶハーバード大学での道徳哲学をめぐる名講義をまとめた大冊である。
穏やかな情念と厳密な理性の連携が、合理的熟慮と人為的徳を導き、そこから生ずる道徳感覚は、人間本性に内在する自然な事実である、とするヒュームの心理学的自然主義。神が創造した最善の世界のもとで、自発的で個別的な理性的魂が、各々の内なる知性の自由を表現する、というライプニッツの形而上学的完全性主義。そして、理性の理念としての道徳法則に基づき、総合的かつア・プリオリな定言命法を定式化する、カントの純粋実践理性の批判へ。
『人間本性論』や『道徳形而上学の基礎づけ』といった、道徳哲学の古典の詳細な読解をつうじて、道徳的構想が担う社会の公共的秩序と構造を探究する、ロールズ版哲学史の精髄。全2巻。
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