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内容説明
近代国家の「民族的起源」とは何か
18世紀から19世紀にかけて、制度的国家と、政治目的・言語・文化などを共有する人々とのあいだには必然的な結びつきがあるとするナショナリズム思想が積極的に展開された結果、今日のわれわれは、エスニック集団あるいは国民といったものには、それに固有の祖先と土地が存在すると確信している。
しかし著者は、古代の言語や文化はきわめて流動的であり、それを地図上に一定の領域性をもって記すことは不可能であること、また諸民族も、自らが均一な集団を構成しているとは認識していなかったことなどを多くの史料を用いて指摘。古代の民族は多様であり、われわれがナショナリティあるいはエスニシティと呼ぶような民族意識を共有することはなく、「欧州の諸民族とは、歴史が生成変形してきた一つのプロセスにすぎない」と主張する。ローマ帝国解体後の古代末期から中世初期におけるエスニック集団の形成、変容過程を綿密に追うことで、欧州における近代国家の「民族的起源」の実像に迫る。「書物復権」シリーズとして復刊!
[目次]
謝辞
序章 ヨーロッパ・アイデンティティの危機
第一章 毒を含んだ景観───一九世紀におけるエスニシティとナショナリズム
近代ナショナリズムと革命の時代
ナショナリズムの道具としての文献学
民族考古学の功罪
有毒廃棄物としてのエスニック・ナショナリズム
混沌とした過去
第二章 古代における民族観
自然界の民族とローマ人
ヘロドトス後の民族誌
ゲンスとポプルス
異邦人と神の民
キリスト教古代の新たな社会観
古典的民族誌と蛮族の移住
古代末期の「新しい民族」
第三章 蛮族とローマ人
ローマ帝国におけるアイデンティティ──階層・地域・宗教
中心としてのローマ
蛮族世界における社会的アイデンティティ
危機と修復
修復と変質
帝国内部の変質
第四章 新たな蛮族と新たなローマ人
連合体としてのフン
帝国内部における蛮族のエスニック形成
五、六世紀ローマの属州民
新たな土地と新たなアイデンティティ
ブリタニアと北部ガリアにおけるエスニック形成
古い民族名のリサイクル
第五章 最後の蛮族?
西方に建設された諸王国内部での融合過程
新しい蛮族たちの世界
第六章 新たなるヨーロッパ「民族」に向けて
結論的考察
ズールー人に投影されるヨーロッパ人
訳者あとがき/皇帝・国王在位期一覧
事項索引/人名索引/原註/読書案内
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