本書は、可換環論を用いて特異点論を解説すること、及び、代数幾何的な対象を通じて可換環論に饒かな研究対象をもたらすことを目的とした書籍である。
特異点論は、代数幾何学の局所理論であると同時に、可換環論の局所理論でもある。
代数幾何学で或る対象を記述することは、多くの場合にあまり容易ではないが、ひとたび代数的な表現で記述ができると、可換環論を用いることによって種々の性質を精確に表現できる。一方、可換環論はそれ単体で多くの例を与えることは難しいが、代数幾何的な手法を導入することで、立ち所に非常に多くの例をもたらすことが出来るようになる。
特異点論の研究には、多分野からのアプローチ方法があるが、本書では特に「可換環論と代数幾何を組み合わせた手法」を基軸とし、次元付き環論や圏論・層論などといった必要な知識も随時導入しながら詳しく解説する。
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