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「聖徳太子 三法を説く 先代旧事本紀大成経伝(六)」は、四巻ある聖皇本紀を漢文読み下し文と現代語訳、解説を付し一冊にまとめた。聖徳太子の数多くの功績のみならず周囲のエピソードもふんだんに記されている。まず奇しき生誕、驚嘆する鬼才ぶりに敏達天皇に寵愛された少年期、そして父用明天皇を喪い激しく悲嘆し服喪するなかでの大連物部守屋討伐時の真実など、従来語られてきた説とは違う記述に注目していただきたい。また推古天皇に再三請われ太子(ひつぎのみこ)となって以降は、一貫して三法に裏打ちされた言動をもって因習に縛られず多くの改革と創造を成し補弼に勤めた。当時、国の内外ともに厳しい判断が求められる情勢下、護国と兆民の暮らしを守るために聖徳五憲法(十七条憲法の原典)を定め三法による統治を明文化しゆるぎない道を示した。その規を自ら行い、朝早く参内し日暮れて遅く帰る姿に、人々はしばしば心を寄せ案じた。休みなく勤める日々には、穏やかな恵みの光や無垢の喜び、愛すべきものたちも常にそばにあった。要約しきれない逸話の数々に、遠いいにしえの人が熱を帯び身近に蘇えるようである。敏達から推古まで四君に事えた希代の人聖徳太子の言葉を、今こそ読み継いでいただきたい。
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