マックス・シェーラー思想の核心

マックス・シェーラー思想の核心

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出版社
知泉書館
著者名
金子晴勇
価格
2,530円(本体2,300円+税)
発行年月
2024年4月
判型
四六判
ISBN
9784862854094

マックス・シェーラー(1874-1928)は価値倫理学の創始者と言われるが,フッサールに出会い現象学の方法を展開することにより,その研究は人間学から哲学,社会学,心理学,医学,生物学,宗教学など広範な領域にわたった。
彼はカントの人間学を批判し,現代人間学の基礎となる新たな人間学を確立した。生物学をはじめ人間科学の成果を導入し,理性だけに偏らない心情や情緒,そして間-主観的な「愛」の領域と人格,道徳など,生ける真理の探究者として人間を総合的に考察する道を発見していった。
しかし戦後わが国では特にキルケゴール,ハイデガーなど実存思想が注目され,シェーラーへの関心は弱かった。
シェーラーの思索は天才的で洞察的考察に満ち,ワイマール時代の新たな思想と文化の勃興に呼応して,彼も生活に密着しながら生命の深みに挑んだが,54歳で夭折した。
著者は価値倫理学の意義とともに現象学や人間学について,その思想的核心を分りやすく丁寧に紹介し,その後のゲーレンやプレスナー,メルロ=ポンティへと発展した人間学の射程と可能性を明らかにする。
情報化やグローバル化など歴史的転換期を迎える中で,人間学は時代の要請に応える学問として期待されている。今日,家庭・学校・社会で蔓延している悲惨な現実,さらに思想の危機的な貧困から脱出するためにも,有益な一書。
本書は人文学に限らず社会科学や理工学系の生成AIなどに関心をもつ読者にとっても示唆に富む必読書となろう。
 【主要目次】

第Ⅰ章 時代と学問
第Ⅱ章 価値倫理学とは何か
第Ⅲ章 他者認識の現象学
第Ⅳ章 身体のシンボル機能
第Ⅴ章 人格と共同体
第Ⅵ章 情緒的生の現象学
第Ⅶ章 愛の秩序とその惑乱
第Ⅷ章 ルサンティマンとキリスト教の愛
第Ⅸ章 宗教の現象学――霊性・悔恨・良心の現象学的考察
第Ⅹ章 現象学的人間学の確立
付論一 シェーラーとハイデガー
付論二 シェーラーの間主観性学説

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