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「幻聴妄想かるた」で知られる「ハーモニー」は、精神疾患を抱える人のための就労支援施設。
町の中を「普通の」人と行き交いながら、口をつぐみ、「いなかったことにされた人たち」……
精神障害者のほんとうの暮らしと思いを、支援者が語り始める。
■齋藤陽道「この本と、新澤さんのこと]
私たちは、いつ、どのように崩れるかわからない、やわらかくて繊細な弱さを含んだ砂の家なのだ。
砂の家をめぐって厳しい現実を見つめる新澤さん。崩れる砂をともに掬い集め、ともに直し、コツコツと関係を築いていく。
不意に訪れた悲しき日もごまかさず描く。それでも日常はやってくる。何気ない日常のかけがえなさを深く噛み締めた人にしか表せない描写によって、登場するみんながふしぎなほど近しくなる。そうして、自分自身の抱える弱さをも愛でたくなる。
■「あとがき」より
……わかるとか理解という言葉はどこか、相手を支配し、取り込むような気持ちの悪さがある。わかる/わからないを置いておいて、ただ、話を聞いたり一緒に居たりすることしかできない時間が私の日常のほとんどであって、この本のなかで書いてみたかったのは、そういう時間のことだったのだ。
■装画
ウルシマトモコ
■デザイン
高木達樹
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