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「地方自治」はどのようにして失われたのか。――地方財政調整制度は「国家総力戦体制」のもとで帝国日本の統治をいかに強化したのか。
戦後日本の地域経済、開発において重要な役割を果たした一方で、地方財政の自主性を奪ってきたとの批判も受けてきた地方交付税制度。本書では、元来地方自治体間の財政力の格差、都市部-農村部間の財政格差を是正するために誕生した地方交付税制度の意義を、その源流である昭和15(1940)年の地方分与税制度の成立と展開の過程から歴史的に解明する。また、先行研究に依拠しつつ、未公刊の一次資料も用いて地方自治のあり様や大正期以降の地方税財政政策、地方財政調整制度をめぐる官僚機構内部の動向、及び警察・軍隊の動向を内務省地方局やその政策理念を通じて検討することで、帝国日本における地方財政調整制度の歴史的意義と役割を考察した。
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