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「あの世の闇」すら光り照らす猫の眼を敬い、蛇の脱皮する姿に「復活」を想起し、糞玉を押す黄金虫に太陽を運ぶ神を想う……。ナイルの恵みで農業国として繁栄したエジプト中王国ー新王国時代。時に神と崇め、時に恐れ敵対した動物たちとエジプト人との関係や、動物ミイラの作り方、当時の社会や宗教観まで活写した、異色歴史書!
内容一部紹介
◎古代エジプト人と猫の暮らし◎
*夢に大きな猫が出たら吉兆。大豊作になる。
*猫女神バステトは出産の神。新婚夫婦は欲しい子供の数だけ、護符に猫の絵を描く。
*火事になったら火を消すよりも猫を助けよ。
*飼い猫が死んだら家族全員、眉を剃って喪に服す…等
序 文
第一章 猫
世界最古の家猫図/オシリス神話/女神バステト/猫の聖地ベニ・ハッサン/パケト信仰/猫のミイラと棺/闇を退治する眼/ネフルよ、ネフルよ/ブバスチスの「猫王」/バステトの祭り/猫の墓/エジプト人の愛猫心
第二章 犬
アヌビス信仰/西方の者/絵画と彫像/『二人の兄弟の物語』/エジプト犬のミイラ
第三章 蛇
二つのエジプト/『難破船水夫の物語』/悪蛇アポピス/翼ある蛇
第四章 ライオン
大スフィンクス/王たちとライオン/ライオン狩り
第五章 黄金虫
スカラベと太陽神/『死者の書』の図像/記念スカラベと印章スカラベ/護符スカラベ
第六章 鰐
ナイルの暴れん坊/ソベク神殿/オシリスを救う神
第七章 ハゲワシ
白い女神ネクベト/王冠飾りと棺の飾り/ハヤブサとトキ
第八章 牛
雄牛の神/雌牛の神
第九章 驢馬、馬、駱駝
砂漠と不毛の神/夷狄のもたらしたもの/戦場の主役/奉仕のみの動物
学術文庫版解説 河合 望(金沢大学古代文明・文化資源学研究所所長 金沢大学新学術創成研究機構教授)
古代エジプト略年表
本書は『古代エジプト動物記』(文藝春秋 1984年刊)を改題したものです。
現在では差別的とされる表現が含まれていますが、本書が執筆された時代環境を考え、また著者が故人であることから、そのままにしてあります。差別の助長を意図するものではありません。
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