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2022年3月刊の『イタリアのテリトーリオ戦略』は5刷を数え、農村振興・まちづくり、イタリアの食文化に関心のある方々に大変な好評を得、書評も多数掲載された。
本書は、都市と農村を有機的に連携させるテリトーリオ戦略について、さらに具体例を通して多角的に掘り下げて論じている。そして調査・分析の対象としたのは、かつて開発が遅れ、マフィアも跋扈していた南イタリアの、アマルフィ海岸およびナポリ郊外のカゼルタ周辺である。
日本の農村は新自由主義的フレームワークにより効率化・大型化・スピード化が進み、疲弊・衰退していると言う。その一方でイタリアの農村は国内外の人々を惹きつけ訪問客が絶えない。
そこでは農産物・食品のサプライチェーンが深化しつつ、農業が多角化し、地域資源の有効利用を実現した結果、EUの新農村振興パラダイムが花開いている。そして小農が大きな役割を果たし、地域循環型・高付加価値化による、経済価値と非経済価値のバランスを取った農業が実現しているという。
前著に続き、かねてより当該地域にネットワークを築いてきた木村氏・陣内氏を編著に迎え、食や農村・農業のスペシャリストが、農と食、そしてテリトーリオについての知見を惜しみなく披露する。本書も日本の読者から高く評価されるであろう。
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