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「最後に満月を見た日のことは覚えていないけれど/夜になると見るだろう月の姿を昼のうちに思い描くことはできる/わたしにも透き通る触手があればいいのに/そうしたら進む道などは光の方向でしかなくなるから」
水面に落ち込んだかつての月明かり、今は亡き人が昔飼っていた犬の鳴き声、夢うつつの気水域に立ち現れるさざなみのような声や断片を拾い集めるように書き継がれた32篇。詩人・野木京子、第6詩集。装幀=稲川方人。
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