誰しも人生を変えた一冊があるはずだ。困難や逆境にあるとき、思わぬ力を与え、生きていく糧となった本。あるいは進むべき道を示してくれた本……
本書は、「戦後日本」におけるそんな一冊を探し求める試みである。
敗戦を受け、「近代化」や「民主主義」を求めた戦後日本は、いわゆる知識人が活躍した時代であり、数多くの名著が生み出された。
とりわけ、「フランス知」が果たした役割は大きかった。
フランス文学からフランス革命史学まで、あるいは哲学・思想から社会・文化論まで、これらの知識人たちの著作は、フランスを対象にしながら、その根底に日本社会への強い問題意識がはっきりとみられた。
このフランスと戦後日本をつなぐ回路はいかなるものだったのか? そこには果たして必然性があったのか? こうした問いが本書の最大の焦点になる。
個々人の関心が多様化し、学問も細分化したと言われる。読書という経験も大きく変容している。だからこそ、社会全体がかなりの熱量をもって集約的に本を読んだ戦後の記憶は貴重である。戦後思想を読む異色のブックガイド!
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