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立命館大学教授・小川さやか氏推薦!
「スペインの飛び地との国境で目撃したモロッコの運び屋女性たちへの暴力。最初は黙認・容認されていた生存のための越境貿易。それがどうして人権侵害まがいの暴力へと発展したのか。それを調べていくうちに、この現象が二国間の関係から移民問題やテロなどをめぐる国際的な思惑、人道的規制が生み出した矛盾、そしてモロッコ国内で周辺化される女性たちの貧困など様々な構造的問題と結びついていることが浮かび上がる。国境で紡がれる小さな生に対峙して構造的課題を導き出したスリリングな学術書」
モロッコ北部には、セウタととメリリャという二つのスペイン領(飛び地)がある。このうちセウタの国境地帯では、1990年代から2020年ごろまで、周辺に住むモロッコ人による「密輸」が行われていた。
密輸というと違法薬物の取引や密漁、はたまた国境をまたいだ人身売買といったおどろおどろしいイメージを抱きがちだが、本書のテーマである「密輸」は、モロッコへの商業輸入に対して通常課される関税を逃れているものの、スペイン・モロッコ当局から容認・管理されている越境貿易の一種である。この「密輸」はセウタからモロッコに食料品や衣料品を運ぶものであり、最盛期にはおよそ40万人がかかわっていたとされる。
本書では、「密輸」を生んだ諸問題に目を配りながら、女性主体の運び屋をはじめとする従事者(パトロン、卸商など)の暮らしを中心に「密輸」がどのような営みであったのかを、実地調査とインタビューをもとに詳細に描いていく。インフォーマル経済、国境、ジェンダーに関するこれまでの研究とも接続し、「密輸」という現象を生み出した社会的構造について明らかにした力作。
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