ミドルマーチ
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十九世紀後半、イギリス地方都市を舞台に展開する人間模様、キリスト教と科学がせめぎあう時代相を凝視する女流作家の魂の軌跡!エリオットの文体が成熟期に達したと言われる作品、上巻。
●結婚生活で夫と妻がお互いの要求を認め合い、折り合う妥協点をいかに見出してゆくか、それがいかに困難な挑戦なのか、読者は読んでゆくうちに、身につまされる。
「人間はみな道徳的に愚鈍に生まれついていて、この世界はこのうえなく貴重な自己という存在を養ってくれる乳房だと考える。ドロシアは、そのような愚かさから早く抜け出し始めていたが、それでも、どのようにしたら夫に献身的に仕えることができるか、夫の力と知恵とを頼りに、どれほど自分が賢く、強い人間になれるか、を想像することはできても、夫も自分と同じように自己という譲れない一線があって、そこから出る光と陰は常に自分のものとは違っているということを、単なる反省ではなく、感情――触れれば手応えのある物体のように、感覚にまで磨きあげられたアイデア――をもって明らかに感じとるのは容易なことではなかった。」(本文21章より)
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