これまで建築史で語られることのなかった「付属屋」に着目した初めての本。
人々が住み、生活をする場となる「主屋」に対し、主に生業を担う作業場や、保管・収納する空間などとして使用される「付属屋」。
主屋は木造軸組みが主であるのに対し、付属屋は石造、土蔵、石屋根木造、木骨石造など構法も様々で、それゆえ主屋以上に日本民家の地域性がより濃く反映され、地域の景観形成大きな影響を与えている。個性豊かな日本各地の「付属屋」の魅力をカラーでビジュアルに紹介する。
目次:まえがき――付属屋と小屋が面白い
第1章 はじめに
第2章 「生業(なりわい)」が生み出す小屋の形
第1節 生業を担う小屋
第2節 出雲東・畑集落の柿小屋
第3節 宇和島狩浜の養蚕小屋
第4節 佐渡ヶ島の棟持柱を持つ二戸一建ての舟小屋
第5節 隠岐の島の舟小屋
第6節 北山杉の磨き丸太倉庫
第7節 宇治茶の茶工場の集落
第8節 平戸市生月島、鯨組の納屋場
第3章 風土に向き合い、自然と共生する営み
第1節 砺波弊社の集落の成り立ちとその空間秩序
第2節 付属屋と屋敷構え
第3節 弘前の武家屋敷をつくる生垣と庭・樹木
第4節 上越市高田・雪国の居住システムとしての雁木
第5節 豪雪地帯秋田の類いまれな「鞘」
第6節 福井県旧今井宿の「雪囲い」
第4章 命を守る――生存のための小屋
第1節 水防の知恵と住まい
第2節 荒川・利根流域の水屋・水塚
第3節 和歌山県古座川の水揚げ小屋と石積み集落
第4節 富士山の山小屋――板屋と石室
第5章 石を積む営み――石と木のハイブリッドな世界
第1節 石積み建物から見えるもの
第2節 宇都宮の大谷石建物
第3節 国見の石蔵と高畠の外構
第4節 小樽の木骨石造倉庫
第5節 長崎の練塀民家と「ド・ロ壁」
第6節 新島の抗火石建築
第6章 石でつくるハンドメイドの風景
第1節 西日本の土を積んだ建築
第2節 奈良のドテヤ・広島のハンヤ・大分のネリビー
第3節 長崎のドヒョモタセ
第4節 石積みという「術」――農作業としての石積み
第7章 土蔵――究極の職人技
第1節 「土蔵」の成立と終焉
第2節 左官技術からひもとく土蔵
第3節 諏訪地方のダシが付いた土蔵
第4節 諏訪地方の「たてぐるみ」とは何か
第5節 会津喜多方の蔵座敷
第6節 横手市増田の蔵座敷
まとめ――もうひとつの民家の系譜
あとがき
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