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東北の海辺の町や山の村で、民話を聞き訪ねて50年が経つ。
「訪う」「訪われる」ということは、本来、どこかで互いの殻を破ろうとする行為であったに違いない。
そして、破った殻を脱ぎ捨てたときに、その前よりは「幸福」になった世界へと、お互いの身が高まったのではないだろうか。
ーー前作『あいたくて ききたくて 旅にでる』(PUMPQUAKES)小野和子より
著者に「民話」を託したそれぞれの語り手の、厳しくも豊かな生のおもしろさ。果てしない知性を宿した「忘れられない日本人」たちの、生きた姿を伝える。
前作『あいたくて ききたくて 旅にでる』が累計1万部を突破、同作で「鉄犬ヘテロトピア文学賞」「梅棹忠夫・山と探検文学賞」受賞した民話採訪者・小野和子による第二作目の著書。
■目次
刊行によせて
第1章 佐藤とよいさん「戸数十四戸の山奥の村に生きる」
第2章 小松仁三郎さん「おらは義務教育には参加しません」
第3章 楳原村男さん「ガダルカナルへ行かず憲兵学校へまわされて」
第4章 佐藤玲子さん「最愛の夫を失って蘇った民話の語り」
第5章 佐々木健さん「神子職を奪われた祖母が語った民話の数々」
第6章 佐々木トモさん「友はみな貸されて(売られて)いった村に生きて」
第7章 伊藤正子さん「母の語りに育まれて」
第8章 永浦誠喜さん「生涯を農民として生き抜く」
最終話にかえて 「商人の妻」
あとがき
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