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『獣医公衆衛生学Ⅰ』、『獣医公衆衛生学Ⅱ』(2014年刊)を全面改訂。改訂に伴い1冊にまとめ,さらにコアカリに準拠するよう編集した獣医公衆衛生学のテキスト。各分野のエキスパートが最新情報をもとに執筆した必携の書です。
近年のグローバル化に伴い,国境を超える人や物などの移動が急速に拡大しています.さらに,地球温暖化や乱開発により,動植物の生態系も変化し始めており,これらの影響は人や動物を宿主とする伝染性病原体の分布や伝播にも大きく関係し,今までわが国には無縁と思われていた外来微生物による感染症(越境性感染症)の侵入リスクが急激に高まってきました.2019年に中国で発生した新型コロナウイルスによる感染が渡航者によって短期間に世界中に伝播したことは記憶に新しい事例です.さらに,「食の安全」の確保も社会(消費者)の関心を集めており,国外で生産され,わが国に輸入される食品だけでなく,国内で生産・消費される食品においても,食品衛生管理の国際基準である危害要因分析重要管理点方式(HACCP)による高度衛生管理が不可欠となっています.
このようなダイナミックかつグローバルに変化する公衆衛生分野の諸課題に取り組むためには,行政対応に係る立案,感染ルートの解明や拡大予測を行う疫学研究,適切な対策を講じることのできる危機管理能力を備え,さらに実践力を併せ持つ公衆衛生獣医師の養成が強く求められています.本書が学部教育だけでなく卒後教育にも活用いただければ幸甚です.(「はじめに」より一部抜粋)
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