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九州大学はこれまで、日本の精神医学界に大きな影響を与えたユニークな教授たちを数多く輩出してきた。著者は、「西南学派」とも呼ばれるこうした歴代教授たちの強烈な個性と開拓精神とが脈々と受け継がれる学び舎で医学部の学生時代を過ごした一人である。
時は流れ、精神科医として長く精神医療にたずさわったのち、著者は教育研究機関のなかで心理職の養成にも関わるようになった。そこで新たに培い、より深く考えたものとは何だったのか。
本書は、2001年から現在に至るまでに著者が執筆した膨大な論文や小文のなかから、比較的読みやすい論考や小論文を中心に、書評や追悼文、親交のあった人びととの心温まる交流なども加えて著作選集としてまとめたものである。
精神科臨床の現場では患者に向き合うとき、表に現れている症状の裏側にあるものまでを見ようとする。それはおそらく、患者のもつ症状のその人固有の意味を理解しようとするためだろう。
本書の著者は、「見えているもの」の裏にある「見えないもの」への関心が人一倍高く、またそれを捉える能力にも長けている。隠されたものを読み取ることによって物事をより深く広く理解しようとする著者のこの姿勢は、患者の症状のみならず、精神医学の動向や歴史の流れにまで行きわたり、あじわい深い陰影をともなった豊かな知見をわれわれに提示してくれる。
本書は、そうした細やかで透徹した眼差しを通して著者が見つめ、感じ取り、考察したことを、ときにユーモラスに、ときに真摯に、ときに繊細であたたかい言葉で綴ったものである。
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