北米先住民ネズパース族の娘アンティコニが、ワシントンD.C.の博物館から祖先の遺骸を盗み出した、その顛末を語る現代の新たな神話――先住民と近代知(サイエンス)をめぐる暴力、囚われ、責任を、ギリシア悲劇の翻案によって描き出す。
「読者のあなたは、本作の中のどこにいるだろうか」(石原真衣・前口上より)
「死者たちを幽閉すれば、生者たちも囚われ人となる」と、盲目のティウェート(シャーマン)のテイレシアースが言う。死者たちを幽閉してきたサイエンスがこれまで問われてこなかった。問われるまでに、あまりにも長い時間がかかりすぎた。(初見かおり・訳者解題より)
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