本書は,「土木・交通工学のための統計学 基礎と演習」の続刊として,大学や高等専門学校で交通工学を専攻する学生を対象とした多変量解析手法の入門書です。この本を手に取る読者には,母集団と標本の関係を理解し,基本的な推測統計手法について理解していることを想定しています。本書では,演習問題ではExcelを用いた解法を紹介しています。現在様々なソフトウェアが入手可能で,これまでよりも容易にモデル分析が可能となっていますが,多変量解析手法の中身を理解するために,初版に引き続きExcelを用いた演習問題としています。交通工学が解き明かそうとする対象のデータは,無限大に近い主体の意思や行動の集積であり,出現する現象はさまざまな要素が相互に影響した結果でもあります。例えば交通事故の解析であれば,交通量などの交通条件,道路線形などの構造条件,天候などの自然条件,そしてドライバーなど交通主体の個人属性など,異なるさまざまな状況が事故発生の要素となります。このような交通現象に対して,多く要素をまとめてひとつの数理モデルに収めて,客観的かつ論理的に解き明かすことができる手法が多変量解析手法であり,交通工学分野の研究・実務にとって非常に強力な統計手法です。
そこで,理論や方法の解説に加えて,交通分野における現実の課題に近い例題を多く用意しましたので,学生が理解しやすいだけでなく,そのまま交通工学の実務者や研究者としてのキャリアを始める頃まで,おつきあいいただける内容となることを目指しています。
なお,章末の演習問題の略解は,Web ページからダウンロードすることができますが,是非,解答を見る前にじっくり考察することを勧めます。
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