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ロボットの開発・研究は、この世の複雑さとの戦いです。ロボット自身が壊れないように組み上げるのも大変ですし、ロボットを歩かせようとすると、普段平らだと思っていた地面に実は起伏があることに気づきます。またカメラには無数のものが映り、しかも映り方には無限にバリエーションがあります。そんなわけのわからないところで複雑な機械を動かそうというのですから、ロボティクスというのは因果な学問です。どうかしています。
ここ四半世紀、この難問の解決に一役買ってきたのが確率論や統計学です、と言ったら皆さんは「本当か?」と思うかもしれません。しかしこれは紛れもない事実で、最初の頃は動きやカメラでの観測の乱れの起こり方を確率で考えて対策する方法が考案され、今も活用されています。そして現在は、ロボットが大量のデータから、統計的な法則性を見つけて何かを認識、判断するという段階まできています。これは、実は動物や人間もやっていることで、確率・統計という道具を得て、ロボットが動物に近づいてきたと解釈することもできるでしょう。
また、もっと手前の段階の話として、ロボットに限らず何か実験をしたら、結果を統計処理することになりますし、結果を適切に人に説明しないといけません。さらには、「ロボットが動かない、壊れる」という偶発的な現象についても「運が悪い」で済ませず、統計を使って分析して対処しなければなりません。このややこしい世界に立ち向かうには、確率・統計の考え方は、ロボットの作り手にも、ロボット自身にも役に立ちます。
ということで、手前味噌も甚だしいですが、本書はロボットを扱う上で知ると役に立つ確率・統計について、基礎から哲学のような話題まで、ひととおり扱ったものです。内容については、大学1年生が最初の方を読んで確率・統計の基礎を確認できるようにしてあります。中盤からは読者対象に縛りを設けず、遠慮なく高度な内容を記述してあります。ただ、その内容については理解する必要はなく、「ロボティクスにはそういう難しい問題があるんだ」と確認してもらい、勉強する動機を持ってもらえるようにしました。数ヶ月ごと、数年ごとに読み返して、どれだけ自身の理解が進んでいるのか確認したり、随所に仕込まれている雑談だけ読んだりという使い方も考えられます。
余談ですが、雑談では動物、人間、人生、そして筆者のギャンブル遍歴、ズルと嘘、手抜きと偏見に満ちた思考の告白など、学術書としてはどうかしている話題を盛り込みました。真面目な方も、不真面目な方も、ぜひ手にとってみてください。
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