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どのようなプロセスを通して地域は価値づけられていくのか――観光都市として再生した広島県尾道市を事例にとり、慣行(コンヴァンシオン)という概念を手がかりに、移住者、空き家再生、ツーリズムなどの各要因を丁寧に調査・分析することを通して探究する。
本書には大きく二つの中心的な課題がある。
第一に、2010年代以降、衰退地域の活性化が顕在化しているが、地域のさまざまな活動や産業の新しい変化のきざしが個々の活動を超えて地域への価値付与と密接にリンクしながら変化しているようにみえる。事例に即してこの内容を明らかにするのが第一の課題であり、これによりオルタナティヴな都市・地域の社会・経済の萌芽の特性を明らかにする。
第二に、地域への価値付与が、地域の諸活動に利益をもたらすことを実証的に明らかにすることである。移住者の集積やツーリズムの振興など、この新たな潮流を複合的に備え変化している都市・地域の考察からアプローチする。創造都市と類似の変化を見せる都市のその複合的な変化に着目し、変化を促す諸力とそれらの作用の過程をトータルに明らかにする試みである。
すなわち、非物質的な転回という現代の特性を踏まえ、2010年代により明確な像を描き始めた地域を新たに特色づける動き、すなわち、地方の中小都市・地域へ焦点を置きつつ、この都市・地域再生の萌芽を地域への価値付与の観点から明らかにするのが本書の目的である。このような新たな社会・経済の変化、起こっている現実をどのように整理し理解するか、その新しい理解の仕方を学術的に解き明かす試みである。(「第1章」より)
著者紹介
望月徹(もちづき とおる)
甲南大学経営学部経営学科特任教授。
大阪市立大学大学院経営学研究科グローバルビジネス専攻博士課程終了。博士(商学)。広島県観光課長・大阪事務所長などを経て、2020年より現職。
専門は経済地理学。主著に、『多様な組織から見る経営管理論』千倉書房、『新時代の経営学』千倉書房、COMMUNITY BUSINESS:Searching for a Regional Concept,Border Inc Publishing(いずれも共著)など。
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