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文明と繁栄の源、命を育む大いなる水の流れ、川。
そこには古来、ヌシと呼ばれる神が居り、異形のモノたちが隠れ棲まう。
たゆまなき流れの中に幾多の生命を生み出す一方、時に命を喰らい、淀みの中に闇を飼う。
我々が死して最後に渡るのもまた、三途の川である。
川底から西瓜を掴む青白き手。水が赤く染まる川。舟を沈ませる亡霊。
死を予言する川のせせらぎ。異界に通じる川面……
体験者から丁寧に聞き集めた、全国三十河川の怖い話。
怖ろしくも神秘的な〈川の世界〉へようこそ――
◆岩田川(三重県)
川の傍の刑務所。刑期が7年以上の者だけに聞こえる川の音が途切れると、誰かが死ぬ…
◆ウッペツ川(北海道)
川で溺れて運ばれてきた男。自分は異界から来た者で、川から元の世界に戻れると言うが…
◆球磨川(熊本県)
水、生物、砂、石。球磨川にある物を盗んではならぬという曾祖父の遺言の恐ろしき意味…
◆長尾川(千葉県)
川から飛び出した水滴が皮膚を破り体内に侵入する。透明な水の粒に似た謎の生き物は…
◆牛津川(佐賀県)
蕎麦の実をひく水車小屋。未明に川から子どもが這い上がってきては石臼の上に何かを…
◆片貝川(富山県)
干上がった川底にあった喉仏の骨。骨を摘まもうとするとそれを掴む別の手が川床から…
◆長良川(岐阜県)
長良川花火大会の夜。鵜匠の霊に見込まれた男が託されたのは一羽の実体を持たぬ鵜…
…ほか、川に呼ばれてしまった人たちの怖ろしき体験を取材した全国30河川の怪異談!
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