蜷の道

蜷の道

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出版社
ふらんす堂
著者名
安藤眞理子
価格
2,860円(本体2,600円+税)
発行年月
2024年1月
判型
四六判
ISBN
9784781416205

◆第一句集



句集を読む楽しみは、詩の扉を開けて凡々たる日常から離れ別乾坤に遊ぶことにある。

文学と音楽を愛する才媛がやがて母となり祖母となり、俳句の道を歩んで二〇年を経たいま、なお含羞の心をもって世に問う句集がここにある。

扉を開くと颯々と風の渡る世界がそこにひろがっている。



帯・中嶋鬼谷



◆中嶋鬼谷抄出十二句

をさな子のしづかな寝息木の実降る

草いきれ前行く人のふつと消え

山の端の月の出くらき鵜舟かな

鍬ついて山を見てをり生身魂

天窓の雪細りゆく雛かな

空梅雨の夜空を白き雲流れ

柊の匂ふ吉野のまくらがり

産み終へてはくれんのごと眠りをり

螢火のひとつ呼ばるるごと迅し

斑鳩は蜷の道より暮れゆけり

うすうすと棚田の跡や葛嵐

耳病んで音無き雨の濃紫陽花

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