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前著『ハイデガーと神学』では,ハイデガーの思索と省察を初期から後期にかけて,否定神学あるいは隠れたる神の神学を伝統の中に位置づけ,そこから〈形而上学の克服〉を論じた。それに対し読者からは「ハイデガーをキリスト教思想で理解するのは,ヨーロッパの思想家なのだから当たり前である」などとの批判を受けた。しかしハイデガーはルターから強い影響を受けたが,後期の言語論,ヘルダーリン論,シェリング論,真理論,また,深淵/脱根底を通して哲学的な思索を展開した。
それらの批判を受けて,本書ではシェリングの考察からハイデガーのシェリング解釈をへて,ハイデガーの真理論を論じる。中でも特にシェリングの無底(Ungrund)の理解から,ハイデガーの真理論における深淵/脱根底(Abgrund)の働きを導出し,理性では理解できない否定神学的省察により〈形而上学の克服〉を遂行した。
著者はシェリング『人間的自由の本質』を読みなおし,神の中の根底や無底の働き,つまり神の中の自然や外部性・異他性の働きこそが,自由と悪の問題の端緒であり,解決のための鍵であることを見出した。さらにシェリングの無底の働きは,ハイデガーの深淵/脱根底の働きへと継承されていると解釈した。
ハイデガーはルターの〈十字架の神学〉から着想を得て,さらにパスカル,キルケゴールを踏まえつつ,シェリングの無底と自己の深淵/脱根底の省察から,神を最高存在者とする存在・神・論としての形而上学の批判と克服を遂行したのである。
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