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野州河内郡乙井の姫四郎、人呼んで“乙姫”──。関八州随一の名医と謳われた内藤了甫を父に持つも、闇討ちによって家族を失い、ただ一人生き残った。生きる道からはずれてしまったと世を拗ね、街道筋を旅する無宿の渡世人である。だが道中で病人に出会えば、一連に数珠を巻き付けた右腕で父譲りの医術を施して治療を行い、一方で生かしてはおけない悪人を見れば、左手で長脇差を抜き、逆手に握って振り回す。右手で人の命を救い、左手で人の命を奪う姫四郎。どちらも自分にとってただの道楽だと、自嘲的に笑いを浮かべるのだった。生死も、今日も明日もない流れ旅が、山深い中仙道で続いていく……。
異彩を放つ無頼派作家、笹沢左保が描く不朽の名作、第二巻!
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