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数学は代数学、幾何学、解析学とよばれる3つの分野に大きく分けることができる。代数学、幾何学、解析学はそれぞれ数、図形、関数に関わる概念について研究する分野である。もちろん、このことは数学が上の3つの分野に完全に分かれることやお互いの分野がまったく無関係に存在していることを意味しているわけではない。数学で扱われる対象は実にさまざまであり、さまざまな対象がお互いに関わりを持っている。主題が幾何学である本書においても、線形代数や群といった代数的な概念が多く用いられる。「数学」とは基本的に一つなのであり、始めは無関係に見えた事柄を思いもよらないアイデアで関係付けることも数学の醍醐味の一つである。
数学者クラインはエルランゲン大学における教授就任にあたり、エルランゲン目録とよばれる指針を示し、幾何学を集合とその上に作用する群の組として捉え、群の作用で不変な集合の性質を研究することが幾何学であるとした。
本書はクラインによる指針にしたがい、幾何学を学ぶにあたって、その入門となるべき内容を扱ったものである。線形代数の初歩を予備知識として、幾何学と関わりの深い代数的概念である群とその作用について述べつつ、2次超曲面の分類を最終的な目標とした。
本書の構成は以下の5章からなる。まず、第1章、第2章では、準備として、それぞれ集合、写像について、本書を理解する上で必要最低限の内容を扱う。第3章ではユークリッド空間の等長変換を扱う。第4章では、幾何学と関連の深い群とその作用について述べる。また、群の作用に伴って現れる商空間や軌道に関連して、幾何学のみならず数学全体において重要な概念である同値関係についても扱う。第5章では、複数個の変数についての2次方程式を2次超曲面とよばれるユークリッド空間内の図形として捉える。
自学自習の役に資するべく、行間に関しては可能な限り何をどこで使うのかを述べ、詳細な解答付きの演習問題を約150問収録している。
幾何学へ本格的に入門するための第一歩。手を動かしてしっかりと身につけよう!
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