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――批評はいつも孤独から始まる。
ひとつの映画作品を問うことにおいて、映画そのものの存立を問う、
その終わりなき営みとしての「映画批評」の可能性。
『評伝ジャン・ユスターシュ』の俊英による、実験?実践の記録。
〈本書で論じられる主な作品〉
F・W・ムルナウ『吸血鬼ノスフェラトゥ』
ジャン・ヴィゴ『アタラント号』
カール・テオドア・ドライヤー『奇跡』
ジャン・ルーシュ『私は黒人』
クリス・マルケル『サン・ソレイユ』
アッバス・キアロスタミ『オリーブの林をぬけて』
クレール・ドゥニ『レット・ザ・サンシャイン・イン』
クエンティン・タランティーノ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』
濱口竜介『寝ても覚めても』
小森はるか、瀬尾夏美『二重のまち/交代地のうたを編む』etc.
若いころ、熱心に読んだ本の一冊に『友よ映画よ、わがヌーヴェル・ヴァーグ誌』がある。(…)最後の一文を?みしめるように何度も読んだものだ。「さらば、友よ。さらば、映画よ」。六八年五月の動乱のなか、山田宏一はこれまで仲良くしていた友人の輪の中に自分がいないことにふと気付く。自分はやはり日本人でしかなかった。「私」は「彼ら」の一員ではない。それは映画に決別を告げるほどつらい経験だった。しかし、この「なんとも言えないさびしさ」こそが出発点となり、その後の旺盛な批評活動を支えていくのである。批評はいつも孤独から始まる。この本を通して得た教訓は、秘かな信条となった。(「序」より)
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