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落ち着きがなく引っ込み思案だったエッシャー。しかし彼は、まぎれもなく卓越した芸術家であった。
エッシャーは、グラフィックアートの想像的可能性を広げた点で評価される唯一無二の芸術家であろう。科学、自然、厳密な分析、高い芸術などが関連し合う彼の作品は、見る人すべてに驚きを与えてきた。
この芸術家をより深く掘り下げ、新しい世代のあらゆる分野の芸術家に刺激を与え続けている数多くの遠近法的、幾何学的、構成的パラドックスと能動的に関わるという、かけがえのない作品を紹介する。
本書では、エッシャーがサミュエル・イェスルン・デ・メスキータに師事していた頃のアール・ヌーヴォーにインスピレーションを得た作品を手始めとして、イタリア滞在時代の作品を中心に掲載。
現代アートのみならず過去の美術からもインスピレーションと影響を受けたエッシャーは、幾何学的な構成と厳密さを追求して、類まれな芸術作品を実現した。シュルレアリスムやオプティカル・アートなどの芸術的潮流を予見させる存在であったといえる。
彼が自身の創造的な世界を形づくる鍵を見出したのは、数字や幾何学、数学の世界においてだけではなかった。
芸術的言語を幅広く駆使し、それらを融合させて魅力的な新しい道を切り開いたのである。この点で、エッシャーは美術史における例外的な存在であり、幅広い層の人々の関心を惹きつけてやまない人物だと言えるだろう。
本書は「エッシャーの不思議のヒミツ」を知る決定版といえる。同名展覧会の公式図録兼書籍として刊行。
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