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2019年4月、早稲田大学 先進理工学部に一人の全盲の学生が入学した。小学2年生の時に全盲となった彼女は、筑波大学附属視覚特別支援学校中学部、都立高校を経て、早稲田大学を受験。みごと現役合格を果たしたのである。そこで課題に直面したのは早稲田大学であった。はたして、どのようにすれば全盲の学生に大学の実験科目を履修してもらうことが可能なのか。この課題に、中心となって対応したのが、早稲田大学 理工学術院統合事務・技術センターの技術部に所属する技術職員たちであった。彼らはつねに彼女に寄り添いながら、学内外のステークホルダーたちを巻き込みつつ、高等教育機関として、当該の実験科目を通じて彼女に何を伝えるべきなのか、という根本的な問題意識の下に奔走する。その技術部の視点から綴った、現場からの報告が本書である。ダイバーシティやインクルージョンの重要性が叫ばれるなか、視覚障害教育に携わる人たちにとってはもちろん、すべての教育関係者にとって貴重な示唆に富んだ、他に類を見ない一冊である。
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