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【序文 全文】
大学の講義で明治四年に欧米の視察に出かけた岩倉使節団の記録である。『米欧回覧実記』を読んでいる。この使節団に加わったおよそ六十人の留学生のうち五人が日本で最初の女子留学生であり、その中に七歳の誕生日を目前にした最年少の津田梅子がいたのは有名である。
しかし本書で描かれているアメリカに渡り医学を修めた四人の日本人女性については知らなかった。この勇気ある女性たちを生んだものは何か。共通するのは、横浜・ミッションスクール・英語・旧佐募派下級士族そしてアメリカという要素だと思う。明治という時代にプロテスタントの信仰がいかに大きな影響を与えたかは、内村鑑三や新渡戸稲造らを見ればよくわかる。その信仰は当時の若い日本人を鼓舞したが、女性宣教師という存在の大きさを、この本から学ぶことができた。もうひとつ重要なのは医療であるが、これこそはキリスト教の奉仕の精神に深く結びつく。慈愛なきところに本来の医学はない。いくつもの大切な美しい糸で織りあげられた一冊であり、明治女性の天稟がここに光っている。
関東学院大学教授富岡幸一郎
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