末枯れの賑ひ

末枯れの賑ひ

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出版社
ふらんす堂
著者名
岩淵喜代子
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2023年12月
判型
四六判
ISBN
9784781416151

◆第七句集



末枯れの賑ひにあり雑木山



末枯れが始まると、林はその空を少しずつ広げて、いつの間にかどの樹も残らず裸木になってしまうのです。毎年その経緯を眺めながら、林の根元に日差が行き渡るのを、なぜかほっとしながら眺めています。

(著者)





◆自選十二句

花八手象牙の蕊をこぼしをり

ひとびとに柳絮飛ぶ日の来たりけり

仏法僧月に模様の生まれけり

河骨は今日も遠くに咲いてをり

空蝉の中より虹を眺めたし

牛たちに夏野の乳房四つづつ

草笛を吹いて己を呼びもどす

脚二本顕はにしたる羽抜鶏

蛭が出て坊さんが来てくれにけり

何もなき部屋に夕焼満たしけり

夫が来てしばらく桐の実を仰ぐ

綿の実を握りて種にゆき当たる

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