潜在成長曲線モデル

計量分析One Point

潜在成長曲線モデル

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研究者の立てた仮説を柔軟に表現し、データを用いた検証を行うことができる強力なツールにSEM(Structural Equation Modeling)がある。この枠組みの中では、経時的なデータや反復測定を行った縦断データについて、モデル構築の工夫を行うことによって調査対象の時間的な変化を捉える方法についても研究がなされてきた。一方、経時的なデータの分析に興味のある研究者にとっては、現在、マルチレベルモデルが隆盛していることも周知のことだろう。
このような現状において、21世紀初頭に刊行された本書ではまず、数ある経時的なデータの分析手法の中で、SEMの枠組みにおける時間をモデリングする方法として、潜在成長曲線モデル(Latent Growth curve Modeling:LGM)を取り上げながら、最も単純なモデルから発展的な方法に至るまでを順序良く解説している。また、例えば「時点0」をどこに設定すべきかなど、時間をモデルに組み込む際の留意点を、縦断的研究に造詣の深い原著者達が述べている。そして関連する多くの手法とLGMとの関連について紹介すると共に、現状と大きく相違ないLGMとマルチレベルモデルの将来像についても語られている。
本書は、SEMにおける基本的な経時的データの扱い全般、およびLGMと類似する手法との関連について興味がある読者、またLGMとマルチレベルモデルとの関連について知りたい読者に最適な一書となっている。

[原著: Latent Growth Curve Modeling, Sage Publications, Inc., 2008]

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