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石に問われ、石に答える思索の旅
ヨーロッパ、南米を経て
日本へ回帰した
ひとりの思索者が
石や岩をめぐる物語に
インスパイアされ
その対話を刻む
それにしても、サン=テグジュペリがインカの石壁をひとつの思想として読み取ったのに対し、アルゲーダスがそこにインカの民の悲しみを聴きとるというちがい。サン=テグジュペリにとっては労苦を意味していた石が、アルゲーダスにとっては「煮えたつ血」だったのである。インカ文明は消え去ったが、その末裔であるケチュアの民は生きている、そして叫んでいる。そういうことだった。
アルゲーダスの受けとめ方は内的というより、動的で身体的と言った方がよい。石壁が生きているという確信によって、過去と現在が一つになっているのである。ものの声よりも、労働と宗教に関する観念の声を聞いたサン=テグジュペリと、まさに対照的である。
(本文「アルゲーダスの石読み」より)
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