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歴史の敗者に注目し、優れた小説を世に送り出してきた葉室麟。本書は最晩年に、古代から近現代まで数多の天災・戦いをくぐり抜けてきた西国を歩いた記録だ。西郷隆盛の鹿児島、遠藤周作の長崎、石牟礼道子の水俣。絶望が祈りへと変る時に文学が立ち上がる。葉室作品への最高のブックガイド。
目次
旅のはじめに
時代に暗雲 詩人の出番 小倉(北九州市)
第Ⅰ部 西国を歩く
防塁は知るや 不屈の士 元寇と「正気の歌」 福岡
覇者の晩年 愛に包まれ 大友宗麟 臼杵(大分県)
城跡で思う 海渡る意味 豊臣秀吉と名護屋城 名護屋(佐賀県)
「沈黙」の祈り 時を超え 遠藤周作とキリシタン弾圧 長崎
「咸宜し」説く 淡窓の心 広瀬淡窓・旭荘 日田(大分県)
「開明開国」夢見た薩摩 西郷隆盛と開国 鹿児島
幕末の民主思想の代弁者 坂本龍馬 長崎
長州の思惑語る 龍馬の裏書 木戸孝允と坂本龍馬 京都
維新への異議 夢の如く 西郷隆盛と西南戦争 鹿児島
近代化切り開いた信念 幕末・維新と佐賀 佐賀
「草枕」のその後を思う 宮崎兄弟と夏目漱石 小天(熊本県)
革命夢見た一途な人生 宮崎滔天 荒尾(熊本県)
日米の光と影 生きた男 金子堅太郎と明治憲法~日露戦争 福岡
「誠」を貫いた小さき者 小村寿太郎と日露戦争 飫肥(宮崎県)
平和求めた歴戦の名将 日露戦争と島村速雄 柳川(福岡県)
火のように 葦のように 火野葦平 若松(北九州市)
雨、被爆地の怒り冷めず 原爆 長崎
南の島唄に潜む生と死 島尾敏雄 奄美(鹿児島県)
戦の世 見つめる大先輩 古川薫 下関(山口県)
海峡越えて夢の歌声 長州と海 下関(山口県)
琉球の声 本土へ届くか 高江と辺野古 沖縄
琉球の苦難 黒船から今も 琉球とアメリカ 沖縄
時勢に流されず―高嶺朝一
第Ⅱ部 先人を訪ねて
被爆の光景逃れ炭坑へ 筑豊(福岡県)
土筆摘む背中 追いかけて
蜩と沈黙の壺―上野朱
暗闇の思想 新たな輝き 中津(大分県)
天宿す母胎 近代の爪痕 水俣(熊本県)
時代に抗し 光放つ文学 熊本
鉱害の山あい 共に歩む 土呂久(宮崎県)
近代の闇 先に見たものは―川原一之
対談 小説世界 九州の地から 東山彰良×葉室麟
「垂直方向」へ赴くこだわり―東山彰良
第Ⅲ部 苦難の先に
熊本の友へ
希望の芽吹きを信じて 熊本
先人が問う「国のかたち」 熊本
苦難乗り越え静謐祈る 秋月(福岡県)
憲法への深い見識に驚き―南野森
第Ⅳ部 曙光を探して
インタビュー「司馬さんの先」私たちの役目
「葉室メモ」―「曙光
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