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「そもそも検閲とは何か?」 この問いに答えるのは簡単ではない。その理由の一つは、ある国家での検閲のありようが、別の国家のそれとは大きく異なるためだ。
この難問に向き合い、「検閲という現象」がもつ特徴を抽象すべく、ブルボン朝フランス、英領インド、東ドイツという三つの政治体制の検閲を題材に、おびただしい量の史料を渉猟してまとめあげ、優れた比較史研究として結実させたのが本書である。
「その物語はヴェルサイユの宮廷のゴシップをほのめかしているのではないか?」、「このサンスクリット語は、民衆を扇動しているのではないか?」、「あの小説には「社会主義的な党派性」が欠如していないだろうか?」――。本書の主役は、こうした解釈の問題に取り組んだ言論統制のエージェント一人ひとりである。
違法な書籍商を従えて禁書の取引をした警官、「現地語文学」の動向を仔細に読み込み監視する図書館員、現代の編集者や学術論文の査読者さながら著者と議論し、軽微な異端を見逃しつつ書物のクオリティに心を砕いた者たち……。史料に登場するこうした人物たちは、きわめて人間くさい関係性のなかで「お仕事」に従事していた。
書物を生み出す力の一つとして、検閲がその生産から流通に至るまで深く浸透していたことを示す、野心的歴史叙述。
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