脳神経外科ーNEUROLOGICAL SURGERYー Vol.51 No.6(6 2023)

特集:神経救急ー初期診療から集中治療までエキスパートの暗黙知に迫る

脳神経外科ーNEUROLOGICAL SURGERYー

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出版社
医学書院
著者名
横堀將司
価格
6,380円(本体5,800円+税)
発行年月
2023年11月
判型
A4変
ISBN
9784260044974

“Time is Brain”。神経救急を表現するものとして、言い得て妙な言葉ですね。脳卒中や外傷、けいれん重積、遷延性意識障害、中枢神経感染症など、脳神経救急疾患はまさに時間との戦いです。当然ながら救急医療の現場では患者は突然、病院にやってきます。私たちは病苦を訴え命の危険にある救急患者を眼前に、失いそうになる命を的確な蘇生で繋ぎ止め、診察と治療を進めていきます。刻一刻と変化する患者の容態を常に気にかけつつ、同時に休まず手を動かし、頭の中の知識の引き出しを片っ端から開け続け、かつ冷静に鑑別診断を熟考し、診断の確定に至ります。常に時間や情報が限られ、治療順序や術式決定に迷う状況下にあっても迅速な決定を迫られる「待ったなし」の救急医療の現場では、「できること」や「知っていること」の数こそが患者救命の可能性に直結すると換言できるでしょう。単純知識の蓄積のみならず、経験の共有が必要であることは言うまでもありません。本特集では、読者の皆様が脳神経外科救急の現場に立つにあたり、その支えとなる経験や実践的知識を共有することを主眼に置き、脳神経外科救急に携わってきたエキスパートの先生方に執筆を依頼しました。執筆者諸氏は無論、百戦錬磨の経験をお持ちの方々です。とはいえ、その戦いの過程において、大きな迷いや痛烈な敗北を経験したこともあったはずです。本特集はエキスパートの失敗や成功の体験にも重きを置き、教科書的な記載やEBMのような明示的知識のみに偏らず、暗黙知の共有にも迫る内容を目指しました。具体的には、患者来院前後の最初の1時間にフォーカスを当て、救急患者の初期診療の流れを共有します。また、神経集中治療についても、常に変化する患者病態をとらえつつ二次的脳損傷をどのように回避するか、適時な治療判断についても深く学べる内容を目指します。最後に押さえておきたい知識として、「慢性期の高次脳機能障害と社会による支援」と、「神経疾患に対するリハビリテーション治療」の実際を解説します。一方、手術テクニックの詳細や、実臨床とは距離のある先端治療などは他書に譲り、エキスパートの判断決定プロセスの共有に重心を置きたいと思います。救急診療の限られた時間の中では、残念ながら患者や家族との信頼関係を十分に構築することはできません。救急医療の現場は時として医療者の誠意ある努力より、究極的なアウトカムである患者の生死のみが評価される、非情で厳しいものでもあります。しかし、私たちのたゆまぬ準備が劇的な救命を生むこと、そしてその成功体験を皆で共有し、次なるドラマをも生み出すことが、私たち医療者の強いモチベーションになります。本特集が救急診療に携わる脳神経外科医の支えになり、患者の救命と回復、そして患者や患者家族の大きな喜びに繋がる一助となれば、エディターとしても至上の喜びです。(Editorialより)

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