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2010年代からはじまった「新世代」による世界的な知的・実践的ムーヴメントを牽引した『ジャコバン』誌の立ち上げメンバーであり編集委員のピーター・フレイズが放つ、「資本主義以後」の世界へ向けた四つの展望。
本書は『ジャコバン』誌とヴァーソ(Verso)社のコラボレーションによるもので、すでに7ヶ国語以上に翻訳されているが、実際にこれからの世界の「論点」をここまで手際よくまとめた本にはなかなかお目にかかれないはずである。
フレイズが描き出すのは四つの展望(ありうべき未来)、すなわち「コミュニズム」「レンティズム」「ソーシャリズム」「エクスターミニズム(絶滅主義)」である。この四つの未来は同時にあらわれうるし、いっぽうでいずれかの傾向を強くしていくこともあるだろう。(たとえば、日本でも近々サービスが開始されるという「ライドシェア(サービス)」は、ある種の「ソーシャリズム」的な側面を持ち合わせつつ「レンティズム」に傾くこともありうるし、また、現在イスラエル国家のやっていることは端的に「エクスターミニズム(絶滅主義)」である)。いずれにせよ、私たちが進む未来を決めるのは広い意味での「政治(的闘争)」であり、そこでは「階級(闘争)」という視点は欠かせない。
そして、この四つの未来に不可避にかかわっていくる「二つの妖怪」がいる。それは、従来の労働を不要にしていく「自動化」と、私たちの生活そのものの基盤を揺るがす「気候危機」である。この「二つの妖怪」と「四つの未来」の絡み合いによる──しかしこれはけっして未来予測ではない──フレイズの展望は、私たちの思考=行動に「未来への想像力」を添えてくれるはずである。
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