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猫の骨が透けてみえるようなひかりで組み立ててみる午後からのこと
束の間生かされているこの地球上のどこか。
天体、火、水、樹、草、鳥、そして猫。
音楽に繰られるように歌は生まれる。
消えてしまいたいところがどこかにあってくつがえされる青空の鏡
忘れえぬものさえわすれ草なかにゆめみるようなわれの墓碑銘
猫以外みんな病んでる 惑星をひとつつぶしてしまうまばたき
封筒のうちがわをひゅると風はゆきなんてさびしい楽器だきみは
あえかなる胸の朱実を啄ばめる百のみだらな鳥部屋に飼ふ
【栞文より】
水と火が、共にメタファーとなることを拒絶しつつ、互いに支え合うようにして併存する。金川さんはなぜ、こうした特異な世界を構築するに至ったのか。その謎を解く鍵は、金川さんが短歌から離れた二十数年にあるような気がしてならない(三田三郎)
遠い過去か未来の光景か、地球か別の惑星なのか。それすらも定かではない、どこでもなく、どこでもあり得る場所で、語り手は自身のかすかなライフラインの痕を探すように言葉を集める。そして水や火、木、風、地、ひかりという人間が所有できない地上の原初的な現象を介して、それらに無意識に包まれる人という生きものの命の姿にも触れてゆく。そこで語るのは誰なのか。わたしか、それとも。(峯澤典子)
感性と資質を自由に開放すればよかった第一歌集とは異なり、目の前にあるのはすでに第四歌集である。堆積した時間を反映して言葉の組み立ては屈折したものになってゆく。午後の強いひかりに照らされて言葉は対象の深部まで映し出してしまう。金川の歌には音楽あるいは楽器にたいする偏愛がベースにある。奏でられる言葉の音楽を楽しみたい。(小池正博)
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