人を殺した人間は、
どのように裁かれるべきなのか?
――殺人にいたる理由をどこまで視野に入れるべきか?
――外的な圧力や絶望的な状況は殺人の理由になるか?
――殺害する意図がなかった場合の罪をどう考えるべきか?
――責任能力の概念をどのように適応すべきか?
――法人による殺人をどう裁くことができるか?
過去に起きた驚愕の事件の数々を俎上にのせ、
人命を奪った人間の「罪」と「罰」が定義され、
分類されるプロセスを明らかにするスリリングな考察。
正しい「裁き」をめぐる社会意識の変遷を浮き彫りにする異色の社会史!
【本書「プロローグ」より】
私たちは殺人(謀殺)がほかのどの罪よりも高位にあることに慣れている。それは刑法上、ほかのどの犯罪よりも地位が高い。……しかし、すべての謀殺が平等なわけではない。すべての殺人者を平等に扱うべきか否かという問題は、長きにわたり司法制度を悩ませてきた。……また一九世紀に医学と精神医学が進歩した結果、裁判所も一部の殺人者は罰と同じだけ助けを必要としていることを認識しなくてはならなかった。
殺人の真実はどんなフィクションよりも奇妙で、暗鬱とし、人の心をつかんで離さない。それは物語の継ぎはぎ細工、罪と罰の物語であるばかりか、正義と不正義の物語、人間と土地、ごく個人的な悲劇の物語だ。そのどれもが絶え間ない社会の変化と政治的激動を背景に起こっている。
この歴史をたどることで、こうした死が今日の私たちの生活に与えてきた影響が見えてくるだろう。結局のところ、いちばん怖い話はきまって本当の話なのだ。
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