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著者のアントニーノ・フェロは,クライン派精神分析の訓練を受けた後,ビオンの革新的なアイディアと南米のバランジェ夫妻のフィールド理論に強く影響を受け,さらに物語論を参照し独自の観点から「ビオニアン・フィールド理論」を構築したことで知られる。
本書では,治療関係を捉える「転移?逆転移」という従来の枠組みを更新し,「フィールドの機能」という新しい視座を提唱している。患者と分析家双方によって織り成されるフィールドにおいて,二人の心の交わりがナラティヴとしていかに表現されるのか,そして,それをどう理解し共同の語り直しが展開していくのかが多彩なケース・ヴィネットとともに示される。
文学作品や映画から物語を読み解く臨床的示唆を得ながら,生じうるナラティヴのマトリックスとしてのフィールドを精神分析的に探究する魅力的な論考。
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