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「死」の知られざる相貌
人間にとって死は、恐怖や不安、苦悩や悲嘆といった、否定的なものの源泉でしかないのか。古代ギリシアから現代まで、西洋における宗教や哲学による死をめぐるさまざまな見解と対話しつつ、有限な生と切り離しえない死の相貌を描き出す、フランスの代表的ハイデガー研究者による渾身の作。
「何よりも固有な、自分の運命にむけて自分自身を開くように、死にむけて自分自身を開くこと。自分がそうであるところの〈死すべきもの〉に、ほんとうの意味でなること。人間存在が思考という手段でなすべき仕事は、こうしたことであるように私には思われる。だが、この思考は、かつて西洋の全伝統においてそうであったような、死にあらがうための処方箋をさがし求めることではないだろう。それは根源的な有限性と絶対的な死の定めを、ほかの何ものにもまして「活気づける」思考であるだろう。」(本書より)
◎目次
序論 広大無辺な死
第一章 文化と死
一 喪、文化の起源
二 終末論が発明したもの
三 悲劇と死の定め
第二章 死の形而上学
一 プラトンの語る〈不死性〉
二 ヘーゲルによる死の「止揚」
三 生成の形而上学
第三章 〈死すべき存在〉の現象学
一 自分自身の死と他者の死
二 〈死〉と〈死ぬこと〉
三 〈死〉と〈可能なもの〉
第四章 死の定めと有限性
一 有限性と全体性
二 有限であること、そして生まれてあること
三 根源的な有限性
結論 死、言葉、そして笑い
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