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作品に結ばれる世界像の論理と構造の根柢をなす〈認識風景〉への問い。
鏡花の〈幻想〉に、同時代の認識体系を拒絶して、現実から解き放たれた〈非在〉の領域において自律する魂への希求を見出し、その批評性を掬い出す。精緻な読解に支えられた、鏡花世界の本源を探る未踏の鏡花論集。
四十年を越える鏡花文学研究の成果を精選し、書き下ろし三本を加えた初の泉鏡花論集。紅葉の添削跡を辿って初期原稿の成立過程を明らかにする導入部から、鏡花世界における神話の位相、インド哲学への応接と影響関係、〈母なるもの〉のモチーフの内実を明らかにするとともに、ジェンダー論的観点も交えて非抑圧者の抵抗を見出す中盤、さらに金沢・浅野川流域という特権的なトポスに作品の地勢図を越えた鏡花文学の認識風景の集約を見る『由縁の女』論で締めくくられる。
文学における〈認識風景〉。長い時間をかけて問い続けられ、深められ、方法論的概念ともなった〈認識風景〉からのアプローチによって、思想史へも接続しつつ、世界を越え出ようとする文学世界を開示する著者による、鏡花=〈幻想文学〉というイメージを超えた、新たな鏡花像を提示する論集である。
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