取り寄せ不可
「降りてゆく生き方」「弱さを絆に」の名の下に当事者主権を実現した当事者研究。「何の資源もない」浦河だからこその革命的活動。だからといって弱くて無力で前向きな支援者たちが何もしなければ何も生まれなかった。
浦河赤十字病院精神科医・中尾衛による地域中心の精神科医療の理念に支えられて1984年に設立された浦河べてるの家は,精神障害者が直面する生活上の困難を個人的な問題に矮小化せず,一人の地域住民の切実なニーズとして社会化すること,いわば「自分の苦労をみんなの苦労に」「みんなの苦労を自分の苦労に」のプロセスを重視して,当事者主権を実現してきた。そしてその成立プロセスを下支えしてきた支援者たちの実践は,当事者自身の問題を奪うことなく静かに伴走し,当事者主体の問題解決を可能にしてきた。
当事者と支援者と地域住民が手を取り合って結実した「べてるの地域主義」は,医療中心主義を転覆させ,医療から解き放たれた当事者が地域に根差して生活するコミュニティ支援の現在形を指し示している。コミュニティ全体に浸透する「共助」の理念に貫かれた,希望へと降りてゆく共生の技法――そのすべての足跡がここに示される。
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