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永遠の映画少年、大森一樹が遺した言葉。
8ミリの自主映画出身、医大に通いながら映画監督デビューを果たし、
生涯で30本を超える娯楽映画を撮った異才・大森一樹が
人生を振り返り綴った、最後のエッセイ。
高校時代から映画に魅せられ、8ミリカメラを携えた「映画少年」だった大森監督は、医大生時代に撮った自主映画『暗くなるまで待てない!』で高く評価された。
1977年にシナリオ『オレンジロード急行』が新人脚本家の登竜門とされる「城戸賞」を受賞し、同作品の映画化で25歳の時に劇場映画監督デビュー。
助監督経験を経ないまま大手映画会社からデビューする事は異例で、一躍注目の人となった。
その後、自らの体験を基にした医大生たちの青春群像劇『ヒポクラテスたち』、村上春樹のデビュー小説を映画化した『風の歌を聴け』、吉川晃司三部作(『すかんぴんウォーク』『ユー★ガッタ★チャンス』『テイク・イット・イージー』)、斉藤由貴三部作(『恋する女たち』『「さよなら」の女たち』『トットチャンネル』)、『ゴジラ』シリーズ等…青春映画から文芸作品、特撮までバラエティーに富んだ名作の数々を世に送り出した。
本書には、そんな大森監督が2022年11月に逝去される前に執筆し、神戸新聞に連載された「わが心の自叙伝」(24篇)と、過去の著作や雑誌への寄稿から選りすぐりの名文を収録する。
「作家ではなくどちらかといえば職人」、「社会派でも人生派でもなく映画派」と
自らを語った大森監督の情熱漲る人生を、彼自身のエッセイで辿る一冊。
これからの世代へ語り継ぐ、映画とともに生きる歓び。
〈目次より〉
◆映画作品の記憶
◆8ミリ映画への情熱
◆夢を抱いたまま映画につなぎとめられて生きていくこと
◆一九八一年の切符
◆大好きな映画を自分の物にしておくために
◆映画の「味」について
◆日本映画の明日はどっちだ
◆十五年目の『ヒポクラテスたち』
◆映画監督の心のケア
◆君たちがこの世に生まれてきた意味は、僕の心を動かした1000本の映画の中にある
◆大森一樹 年譜
「映画がおもしろくなければならない」と言ってしまうのは簡単なことだ。
しかし、「何がおもしろいのか?」について答えるのは、そう簡単なことではないだろう。
それは作る方にとっても見る方にとっても--。
映画の歴史というのは、多分、そのことに答えることの歴史だと言っても大げさではないように思うのだが……。
(「映画のエンターティメントについて」本文より)
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