個々人が置かれている状況や意識の多様化が一層進む中、かつてのように、社会的問題が生じた時に、画一的な公的サービスに頼り切る時代は終わりを告げつつある。
非営利組織は社会をより良くするというミッションを持ち、高齢者・障碍者などの社会的弱者のケア、被災地支援、教育の普及など、公的サービスでは十分にカバーできないさまざまな公益サービスを提供しており、その重要性が増している。
本書は、「お金」という切り口から、非営利組織という組織体について理解を深め、その支援の際の意思決定に役立つ考え方を学べるよう執筆、編集された入門書である。お金に注目するのは、活動の裏側には必ずお金が絡んでおり、その活動を理解する上では、お金の動きを表す財務諸表を読みこなすことが重要だからである。
本書は4部からなり、?部は非営利組織全体の基礎知識、?部は企業会計の概略を押さえた上で種々の非営利法人の会計を、事例を元に解説する。?部は寄付や遺贈に際しての優遇税制などをまとめている。?部は発展的内容として、国や地方公共団体の会計やふるさと納税、起業を扱う。
非営利組織への寄付には自分の思いや意思を反映させることができるため、同様に市民が支出し、集めたお金を公益サービスを投じる税と比べ、社会を変える力が強いとも考えることができる。主体的に社会に関わることが求められる時代に、学ぶべき内容がまとまっている。
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