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2000年以上前の医師で、「医聖」とか「医学の父」と崇められているギリシャのヒポクラテスは次のような言葉を残しています。『汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ』。『食べ物は健康と長寿と我々の幸福の源』ーー。
皆さんは歳をとると物忘れが進み、脳の機能が低下するのは加齢現象で仕方ないことだと考えているでしょう。その考え方は間違っています。適切な食事を行い、健康的な生活習慣を身に付けて、それを実行すれば、脳の機能を低下させず、記憶力の低下も大幅に抑えることができるのです。
本書が詳しく述べるのは、一体どういう食事をしたら脳の機能低下を抑えて認知症を予防することができるかということです。
その前提として大事なことは、認知症は歳をとってなるのではなく、この病気になるには20年ほどの時間がかかっているということなのです。さらに言えば、一度認知症になってしまうと、その治療は極めて困難です。この数年の間に治療に効果があるとされる薬も出てきていますが、たいへん高価で、広く行きわたるにはまだ時間がかかるでしょう。若年性認知症は50歳ぐらいから始まりますから、30歳を過ぎたら認知症にならないような食事を心がける必要があるということなのです。
認知症があなたの毎日の食事によって起こる病気で、それを改善すれば、認知症にならずに百歳まで健康に生きることが可能なのです。
なぜ糖尿病の専門医である私が認知症の予防について語る資格があるのかと言えば、認知症は糖尿病に非常に似ているからです。糖尿病も一度なったら絶対に治らない病気です。どんなに食事を気をつけて運動して薬を飲んでも絶対に決して治らないのです。この病気も20年前からその兆候は始まっています。つまり20年間、糖尿病を避ける食事をしなかったために、なんと20年後に糖尿病が出てくるわけです。糖尿病も認知症も、体の血管と血液の不具合が引き起こす病気です。そのメカニズムはとても似ているのです。
では、どのように食事に気を付ければいいのでしょうか。
それは、糖尿病にならない食事法や高血糖値を改善させる食事法に酷似しています。認知症を予防するために気をつけないといけないのは、あなたたちが毎日食べてるご飯やパンやお菓子やケーキです。一番好きなものが認知症を引き起こす原因だということです。本書では、その理由をわかりやすく説明します。
でも、皆さんが知りたいのは、理屈ではなく具体的な方法ですよね。ですから、そのやり方を医学的な立場から詳しく説明します。この本を読んで、絶対に将来衰えない脳を作ってください。
認知症にならないためにはどうしたら良いか。ほんとにそれを予防する方法はあるのかーー。
あります。それは食事を気をつけるということです。それは延べ20万人以上の糖尿病患者をみてきた私の確信です。
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